ご飯が欲しいよ。猫王子

まだちょっとしたものがあるころの

 今日は、猫王子が、ちょっとしたものをオペする日です。朝から水も、ご飯もだめです。彼は、冷蔵庫の前でいつものように、お座りしてニャアーンといいました。ごめんね、あげられないの。親分は、御水だけならと蛇口をひねってしまい、御水もだめだよ、麻酔かけるから、覚め際に吐くと危ないじゃないと、まあ水も取り上げられてしまった。早いとこ片付けてしまいたいのに、朝は絶対に駄目な、ドラキュラ軍団は起きない。いいかげん、頭にきた。夏中朝起きてこない。一日が昼から始まる人生って何なんだ。などと怒ってみても、無駄だね。親なんて、虚しいもんだね。おお、珍しく朝から落ち込みに入ってる。今日は銀行振り込みに駆け巡らねばならない。3人分。眠り君とスナフキンとウチの分。たかが個人の振込みでも、駆け巡らされている気分になるのに、これが事業なり、組織を始めたら、私はそれだけで多分イヤになってしまうだろうね。
 このごろ、あまり内面はいい状態ではない。絶え間ないイライラを抱えている。心があわ立っている感じがする。何が私の心をいらだたせているのかはわかっている。自分でこの感情を飼いならしてゆかなければならないのもわかっている。
 親分は、基本的に何のために猫王子が、オペされなければならないのかがわかっていない。パイプカットのほうが簡単なのに、何で取っちゃうの?と言っている。繁殖が問題なのではなく、性衝動に伴う、もろもろの行為が困るんだよ。当面はあちこちにマーキングされること。あの雄猫のオシッコの後始末。呪いのにおいはとても消えるものではない。向田邦子が、愛猫のコンラッド雄のために、マンションを一部屋専用にした気持ちわかる。純血種は,絶つことが出来ないから、シーズンごとに目がくらむばかりのスプレーを、じっと耐えたらしいよ。独身で、主張のハッキリした作家だから赦されたんだろうけれどね。想像しただけでくらっとした。
 朝一番の仕事が、シッコの匂いを探すと言うのも、なんだか猫になった気分がするよ。上手くいけば、もうこの作業ともオサラバさ。男達は、朝、猫王子に「お前も、かわいそうだねえ」としみじみ同情していったよ。
 夕方4時過ぎ痛々しい王子が帰ってきた。なんだか解らないけど痛いとこがあって、落ち着かないんだよーと、言いたげだ。ごめんね。今晩8時になったら御水はOK、ご飯はあしたまで駄目。10,500円でした。10日後に抜糸だそうです。それまで、傷をなめるようで、酷かったら、エリザベスカラーをつけるそうです。なんだか、切ない話です。

 まったく話は変わりますが、はたけに冬菜を何種類か蒔いてきました。少しずつ。明日、ダイコンの種を買って、蒔きます。ふゆの菜っ葉はおいしいので、ダイコンよりも沢山のスペースをいっそ菜っ葉にとったほうが楽しいかもしれないな。
 ただし、ダイコンはうまく作ると春近くまで、畑に置いておくことが出来るし、花が着く前に収穫さえすればいつも新鮮なものが食べられる。少し硬くても、葉も利用できるからな。蕪はどうだろう。作ったことがない。蔓ありインゲン豆は、気温がいきなり下がったので、いまいち生育が良くない。これも、お天気次第だから、気長に待つことにする。秋が来ると畑の世話は一気に忙しくなる。気温はどんどん下がってゆくし、日没も早くなる。発芽温度をみながら、残りの期間を計算して、ぎりぎりのタイミングで、種を蒔く。ハーブもまだ蒔ける物がある。今日はルッコラを蒔いた。レタスに混ぜるとおいしい。ただし、また台風が来るから、蒔いた種が流されてしまうことも考えなければ。蒔いたところに発芽しないで、あっちこっちで発芽している。
 最後に取った、青いトマトはピクルスを作ればいいのだが、なんと「作っても食べないよ」と皆さんに言われてしまった。どうして?イタリアやスペインの田舎のお母さん達が、やっていることを自然に取り入れてみたっていいじゃないの。あなた達が、たいがいのエスニック料理が食べられるのは、私がこだわりをもたず、何でも食べてみようと思って、試してみたからじゃないの。普通のおうちで育った子で、クスクスが2種類の料理の名前だってコト、自分のうちの食卓で体験している子は少ないと、思うけど。
ふふふ、体験なんかしたかねイヤって思ってるな。世界の何処に流れていっても、「ああ、これママンの味だ」ておもえたらいいじゃありませんか?
 猫君は、アッチヘ行っては「ケホケケケホ」「ゲゲホゲヒ」と、麻酔負けの吐き気で大変。たんすの上でやっているから、ジョナサンの上に降ってきそう。これが、人間だったら、大騒ぎだね。と疲れた頭で、ボーっと考えている。