悪魔が来たりて居座った

こいつが犯猫

 猫王子に異変がおきたらしくて。あれからやっと猫シッコの匂いが消えたのが夕方。
ドラッグストアで大袋に一つ消臭スプレイととりあえず思いつく限りの、消臭グッズをかった。師匠いわく、「レジの人よっぽどくさい家なんだと思ったでしょうね。」うん。「でもさ、雄猫にシッコされたっていえば、みんなああそれはそれはって言うよ。」うんうん。それから、二人で最強の臭い生き物は何かを熱く語り合った。私はスカンクかと思ったがモットすごいのが居るらしい。それは虫の仲間らしい。
 何とかなりそうなので、猫の一件は落着したはずだった。夜、さあ日記を書いて寝ようと思って、ギュダ君の祭壇の置いてある部屋へ行った。呪いのあの匂いがする。何処だ。気のせいか。手紙を一本書き終えて、でも匂う。もう一本書いていて、どうしても気になるので、部屋のすみから隅までさがした。なんと私の蒲団の上にしっかりしているではないか。ダウンケット、タオルケット、毛布、シーツ,敷布団全滅。とりあえずバスルームに全部放り込んで、しっかりとドアをしめた。
 天気図を見た。明日は午前中は土砂降りの予報図。洗えるものはとにかく洗ってドライヤーに入るものは廻して乾かす。あの分厚い羽根敷布団はどうしよう。親分はクリーニングで丸洗いしたらという。それは最後の手段だよ。イクラかかるか知っているかいダーリン。主婦は万策尽きるまで、戦うものだよ。
 すっかり信頼を失った猫王子は、各部屋から締め出しを食らった。部屋の入り口でニャーニャーとコールしてみてもいつものように開けてもらえない。中の蒲団がかたずくまで、みんな警戒して開けないのだ。親分は「猫には猫なりの理由があるんだから」という。確かになにか、差し迫った理由があるのだろう。もてあましたエネルギーを満身に込めてスナフキンの部屋に駆け込んだ。ドサドサドサすごい音。ジョナサンが「今度は何だ」と飛び起きて「何だ猫か」と又寝てしまった。引越しの後、次々起きた諸事情のために、積み上げたままになっている荷物のダンボール箱を崩したのだ。
 かくして、私の今日一日の始まりは、昨日に引き続き悪魔が居座っている、その後始末。大天使ミカエル助けに来て下さいませ。
 まったく、猫王子は可愛いんだよな,大将。コレはもはや大人猫になったよーのメッセージではありますまいか。事は早急に考慮成されたほうがよろしいかと。
 安心しなさい。根負けした大甘のママンが姫様の部屋に入れてしまって、いつもの様にベタベタゴロゴロしているよ。ママンは仕事をしながら、猫の後をくっついて歩いてちゃんとトイレで用を足すのを確認した。一安心。自分のトイレはわかっているらしい。さあ太陽がでてきたぞ。敷布団と格闘するぞ。浜口京子の心境かも。負けられないこの勝負。では。ゴー
 スールから講演内容についての、電話が来た。命についての講話になる。
今年は、とことんこのテーマらしい。私が、自分で選ぶことは決して無かっただろうし、不思議。いえることはこうやって、自分の心の整理をしているのかもしれないって事。子供を大切に育てることと、甘やかすこととの違いなどについて具体的にだって。子供を育てて、年寄りを介護していて、ほとんど同じ手触りだなって、思う。やさしさと、甘やかしは違うんだなあ。この違いがわからないから、虐待がおきる。人間は年齢に関係なく、同じツボがあるような気がしているよ。