地図を片手に

mugisan2016-03-16

道に迷ってみる。何も考えない。周りの風景と地図の風景をどう一致させてゆくのかだけを考える。この道は初めてと思う道がだんだん少なくなってゆく。ただ何も考えないで歩いているはずなのに道に迷う、ふと現実から彷徨い出て、過去の時間に気持ちが戻っている。私は今どの時間にいるのか。何年前か、どこの街角か。何歳の私が歩いていた街角なのか。この彷徨う気分は、自分の中に湧きだしてくる過去の感情を呼び覚ます。私はどこにいるのかを知りたいと思ってみても、それは風のようにふわりと通り過ぎて行ってしまう。ただ味わうことがうれしくて、懐かしいと感じることがうれしくて、私は彷徨いながらゆっくりと現実に戻る。


人恋しくなる。もしこの道で誰か懐かしい人にあったなら、それが私の次の曲がり角の道しるべになるかもしれないのにな。