空を見上げたら

七夕の短冊がいっぱい

 蜻蛉がたくさん飛んでいる。もう秋なんだ。そろそろ最終地点に旅立つ準備が必要になった。ここでの生活を締めくくって新しい生活をする。人生の最後の締めくくりの場所をきちんと整えなければならないと思う。

 盛岡が好きで旅の途中で家を建ててしまった。もうすぐ40年になる。自分の家だけれど自分の家という気持ちがあまりしない。住んだのは一年に満たない。転勤転勤で空き家になったり借家になったり、家もかわいそうなものだったな。
流れながら生きてきたけれど、どこかで落ち着いて暮らすはずだったのに、あの震災で身動きが取れなくなってしまった。もう少し身軽に動けるはずだったのにな。


 季節はそんな私たちの思いなんて関係のないところでめぐってゆく。季節の巡りの中で変化してゆく自分に気が付く。失って失って何かを手に入れての繰り返しの中で最後に手の中に残るのはなんなんだろうか。命が生まれ命が去ってゆく。この人生の中で幾度も身に起きたこと。そのすべてを飲み込みながら、私たちは家族になって行った。納得できたこと、今なお痛みを感じさせるもの。何も解決なんかしていないのかもしれない。置き去りにすることも出来なくて、抱え込んで胸に畳み込んで生きてきた。あとわずかの日々であろうとも、出会う事、出会う人を大切に歩み続けたい。