なぜ今

 家族が皆健康であればこれ以上幸福なことはない。今まで誰かが重い病気を抱えていた。それが何とか共存できる程度の病気になった。
 また一人、とても思い病気を抱えた。治療法が今の医学ではない。対症療法もない。国指定の難病で、完治することは難しい。ならばどうする?本人が望むような生き方を家族全員がサポートする。それしかないな。そう思ったら絶望ではなく、先の見えない人生なのに、もっともっと大切に生きなければと思った。
 限りある命を生きていることに変わりはないのだから、本人も、又、家族の一人一人もメメントモリだ。自らの命の終わりを思い、今を精いっぱい生きていこうと、心の底から思った。私はあきらめない。医学は日進月歩で進んでいる。そして神様が見捨てられるはずがない。たとえどのような時間の長さであっても、生き切って、歩み切って旅立てることを願う。私たちは定めのある命を生きている。やがて生きていたことさえも消えていく。そんな小さな存在であっても、私たちは私たちの命の限りを生きようと思う。それはきっとこの人類の流れの中に生きるものに与えられた恵みなのだと思う。