石巻に行った

雪空の下で 朝日を受ける

 研修担当として。この町で生きている人の中に、聞くことのプロを育てる。様々な体験の中に生きる力を獲得してきた経緯がある。傷を負ってなおその傷を無駄にはしない。そこからしか感じ取れないものがある。被災者が被災者の支え手になるための訓練は決して甘くない。見たくないものを見なければならないことだって、聞きたくないことを聞かなければならないことだってある。


 それでも、そこに生きていこうと決意した時、人はそこで生きる方法を手探りで探し出す。聞く者も、語る者もお互いの言葉にならない空気を感じ取る。そして黙る。沈黙の豊かさを感じる。語る必要もなく、聞く必要もなくそれを超えて感じ取る。同じ土壌に生きるものであるからできることだと思った。風土という言葉を私たちは使うが、まさに風土としか言いようのない空間がそこにある。