小雪が舞う

 寒い。風が冷たい。久しぶりに昔からの友人に会った。お互いに人生の冬を生きてきた感がある。それぞれがそれぞれの精いっぱいの知恵と忍耐をかき集めて、今日まで歩いてきたような感じがする。その人と話していて、私たちはいつしか、あの日3・11にどこにいて何をしていたのか。そしてその時何を感じ何を思ったのかを思い出し語り合った。あの日がまるで人生の新しい出発点ででもあるかのように、私たちは語り合いあの場所からそれぞれがどのように生きてきたのかを語った。苦しみの中に生きてきた時間を今語ることで胸に収めなおしている。これから何ができるのだろうか。それぞれの家族に何が待っているのだろうか。何が起ころうともあの日よりひどいことはないと思う。あの日々を生きてきたのだから、まだがんばれそう。そう思えば自分にとってはかけがえのないものを教えてくれた出来事だったと思う。お互いに言いたくないことは聞かない。ただ静かに時間が流れて、明日も又生きていこうかといえる。