報告書を書く

篠つく雨

 最後の仕事。昨年度の報告書を送信する。今私にできることはこれでおしまいだと思う。溜まりに溜まった連盟からの文書をすべて整理する。ダンボールでいくつになるのだろうか。捨てられないままに抱えてきた形にならない責任と気持ちの張りつめた重さを整理できたらどんなにか心が軽くなるだろうか。自分が望んで引き受けたことではなかったにしろ気が付けば求められることの多さに振り回された感じが強かった。やらなければならなかったこと、やりたかったことの整理と計画企画の練り直しの日々だった。そのすべてが終わったと思ったときこの書類の山が重く思われた。最後の報告書を出してこれでよかったのだと思った。
 また新しいページをめくる。そこからの歩みを確実に踏み出してゆくこと。そのことが私の今日からの在り方になる。いろんな考え方ができるだろうが、私が感じたのは、もう振り回されなくてもよい、誰のご意見を待つこともなくなるだろうな、ということだった。この数年間の体験は、どうすれば人に対して穏やかでいられるのか。どうすれば正しいと思うことを貫くことができるのかを体で学んだこと。人が傷つく姿を見たこと。立ち直る姿も見たこと。その中でしなやかにタフに生きていく姿をすぐそばで見つめられたことは貴重な体験でした。カウンセリングルームでは体験できない当事者の思いをじかにかかわることで体験できたことは私にとってラッキーだった。生きていくことの中で、自分自身にとって無駄なことは何もないのだなというのが実感だった。