確かに言葉を交わしたはずなのに

雪が降った直後の雲

いったい今日は何を話したのだろうかと、思うことがある。記録を見れば最低限のことは思い出せるけれど、それ以上に何か大切なことを忘れているように感じる。人はその心に何を響かせたのかを滅多に口には出さない。
 自分でもそのことを忘れてしまうか、心の中に抱え込んでいるかの違いは、そんなに大きくはない。そのことが大きな違いと感じとられるのはそれが誰かに向かって示されたとき、相手の心に響くものの形を見たとき、人は改めて自分の心の風景に気が付く。