あるケースに付いて

モノクロのくも

 守秘義務があるから、具体的なことはかけないが、ここしばらくあるケースに関わっている。発覚したのはここしばらくのことだが、出発点は十数年前。関係者はうすうす気付いていたが誰も明らかにしようとも、関わって何とか救済しようともしなかった。家庭の中に他人が踏み込むことはためらいがある。
 多くの場合、自分の人生の中に他人を抱え込むゆとりはない。しかし生きていく幼い命の将来を考えると、何が何でも動かざるを得なくなる。苦しくて見て見ぬふりはできない。苦しんでいる人のそばで幸せにはなれない。そこにつけ込んで自分の責任を人に押し付けて逃げようとする人もいる。たとへ利用されていると思っても命を救いたいと願う。自分の家庭を犠牲にしつつ関わってくれる人がいなければ虐待からの救出はできない。そのような人が一定数集まった時初めて救済の扉が開く。スタンドプレイは長続きはしない。