子供の頃

間もなく日没

少ないお小遣いをためて、毛糸を買って一生懸命隠れて編み物をして母親にプレゼントを作った。親になにか買ってあげることができなかったから手作りでささやかに贈り物をした。困ったのは父で男物は値が張る。そこで本を買った。これは苦肉の策でツケが効く本屋が有ったから。親は苦笑していたが、これで随分良い贈り物ができた。幼い妹には可愛い小物を用意した。内藤ルネカップやウサギの耳がケーキフォークとテイースプーンになっているものが記憶にある。
 あの頃のクリスマスは待つ楽しみがあった。家族が一つになっていくことを実感していく喜びがあった。今クリスマスは物とお金で組み立てられているような気がする。もっと形にならないものがあるはずではないのか。私達の豊かさは何を失った末の豊かさなのだろうか。