トレーニング

晩秋の明け方

 予定の半分でもう見切りをつけて、友人のSと美術館めぐりをした。西洋美術館では常設展だった。私は常設展は見たことがなかったのでかえって新鮮な出会いがあった。ブリューゲルに巡りあって、もう七位も見なくてもいいというくらい嬉しかった。それから博物館に行って京都店を見た。洛中洛外図が見られた。もう堪能した。足は棒のようだったけれど嬉しかった。なんという長い年月を超えて私はこの作品たちに出会うことができたのだろうか。もう生きている間には二度と会うことはないと思うけれど、吸い込まれるように見とれた。美術というものは不思議なものだ。見る人の心のありように寄って優しくも、激しくも響く。