子どもたちが赤ちゃんの時、

哀悼

生まれるとすぐに飛んできて祝福をしてくださった。洗礼式に連れてゆくと「ちょっと貸してね」といって、連れて行ってしまった。あとで戻ってきて「修道院の祭壇に奉献してきました」とおっしゃる。我が家の子供達は洗礼と同時に神様に捧げられて祝福された。
 心からの優しさで神の加護を祈ってくれた。だから子どもたちに何があってもシスターに祈っていただいた事が支えになって、私はどこか安心していた。
 S学園の福祉講話会の始まる前に亡くなったと電話が来たから、講話が終わり次第、夫は喪服に着替えてお通夜の準備に飛び出していった。長い間祈りに捧げられた人生にやっと終わりを告げ、天国に旅立っていかれた。プリンセスと生徒たちに呼ばれるくらい美しくたおやかな方だった。その心の奥には深い思いを秘めておられるのが伝わってくる。修道女らしい修道女だった。もうすべてのことから解放されて天におられるのだと思うと、寂しさよりも、懐かしくただ愛おしくなる。