遠く遠く昔から

白神山地

深い森の木々の上にも、
降り積もった木の葉の上にも、
幼い生き物たちの上にも
雨は降り
静かに大地に染みて
何時か小さな流れは大きな流れとなって
森を潤し麓を潤し
生きるものすべてをはぐくむ。

そして
私もまたその営みの中の
小さな一つの存在だと気づく


小さな私が生きてきて
やがて土に帰ることができたなら
私の木は
風に香りを運ぶ桂の木であってほしい
姿はわからなくても
秋になれば
甘く優しいミルクティの香りの帯を放つ