聴く

こちらから向こうへ

 黙って聞いていればそれは聴いたということなのか。言葉が生きてそこにあるのか。訓練をしていて傾聴や聴くということだけが一人歩きをして形だけがそこにあるようだと感じる。スタイルは確かに聴くようであっても、では心をいかに沿わせるのかということは形から入っていくことができない。訓練を通して自分でその感覚を納得していくことでしか理解できないものだと思う。
 お互いに「違うなあ」ということでしか伝えられない。そのザラッとした感覚をいかに敏感に掴み取るのか。言葉では伝えきれないから体験を通して伝えるしかできない。体験しつつ学ぶことの難しさを抱えている。言葉やイメージや知識が蔓延しているからほんとうに必要なものが伝わって行かない。もどかしいが待つこと。ひたすら其の瞬間が来ることを待つ。