芽吹きの季節

けやきの芽ももうすぐ出る

命がみなぎって
あふれだす季節

ひっそりと旅立っていった子を思う

短い間の母と子であったけれど
あの子が旅立つとき
私も一緒に旅立ってしまったらしい


あれからもう随分日が経っているけれど
私の人生はあの時、大きく変わった
自分のための時間は持たなくなった
悲しい人や苦しい人のそばに立つことが仕事となった


命の季節に
私は生きることの悲しみを一番深く感じる
あの子が旅立たなければ
私はのんきな楽しい人生を生きただろう

今私はあの子と一緒に旅をしているようだ
冬の寒さを胸深く抱えて
芽吹きの季節を生きている