気がつけば

りんご大好き

 いつの間にか光が強くなってきて、日没の時間が遅くなってきている。ほんの僅かな変化なのに、冬に向かう気持ちと春に向かう気持ちはこんなにも違うのだなあとしみじみ思う。この春に向かう気持ちが喜びと感じられるひとと、より自分の闇を強く意識させられる人がいる。命に向かう季節であるからこそ、闇への思いも深くなるのだろう。
 丁寧に心の闇と向き合うことを心がける。

 人の命は脆いものだと思う。生きることが辛いのは回りの心の明るさに比べて自分が深く沈み込んでいる時。比較ではない。その落差に自分自身の苦しみの姿を感じ取ってしまうのだ。人は自分の中に生きる希望を持てないと感じるとき、いっそこのままこの闇の中で静かに絶えて行けたら、人生は穏やかに終結するのかもしれない。ほんの少しだけ眠り続けていたい。休みたい。消えてしまいたい。その先に別れが待っているとしても。
 幾度かの自殺未遂を体験した人がポツリとこぼした言葉。


 震災からもうすぐ二年。生きる希望が自分の中に感じ取れなくなっている人に、どう関わっていけばよいのか。特効薬も、ハウツーのマニュアルもない。一人ひとりの求める闇払いのやり方があるのだから。
 私に今できることは、あなたの存在を私は大切に思っているし、ともに生きていきたいと願っていると、心から伝え続けること。心の思いをあるがままにこの両の掌で受け止めること。