今日は

 彼の好きだったことを思いながら時間を過ごそうと思っています。日々の暮らしの中で思い浮かんではそのままふたをしながら暮らしている痛みや悲しみやいとおしさを静かに掌に載せて暖めていこうと思うのです。
 悲しみは何時か私自身を支える強さに変わって、私が他者と関わるとき、相手を守る意識に変わっていきました。相手を非難して裁くことから私を解き放ってくれた。
 彼が私に残してくれた物は沢山あるけれど、この感覚もまた彼の死が私の中に残してくれた大切な感覚です。ここまで痛まなければ、おろかな私はこのことに気がつかなかったのです。