新しい年

冬の夕暮れの光

おめでとうとはいえない。ついさっきも大きな揺れがあった。身を硬くして未だ揺れるだろうかと思う。身に染み付いた恐怖はなくならない。

 今年はお年賀が少ない。御互いに出すことをはばかる気持ちがある。家族を亡くさなくても、友人知人を失った人でこの土地は溢れている。
 だからこそ新しい年の巡り来るを喜ぶべし。でも哀しくて喜ぶことが出来ない。直接震災の被害ではなくても、震災にあってそのショックで身体を壊し、もしくは生きる力を失い、身内の不幸に打ちのめされ、または過酷な生活環境の変化について行けず、沢山の人々が体調を崩し、亡くなっていった。だから言ってみればこの街は、この土地は、この地方は喪中のままなのだ。


 それでも、来る年の幸多からんことを願う。神様、せめて今年は一息つかせてください。せめて今年は穏やかな日々が過ごせますように。