テレビの番組で

がんばるべ!トラック

 石巻出身のアナウンサーが「まだそんなことを言っているのかといわれますが、被災地は未だ何も終わってはいないのです。だから報道し続けます」と淡々と語った。きっとこの人にも「未だ」「もう八ヶ月も経っているのに」「あきた」と言う声が届いているのだと思う。いい加減に諦めたらと言う声も聞える。
 まだ家族の元に戻れない行方不明者が3000人いてその帰りを待っている家族がその何倍もいて、それなのに同じ画面を見せるなとか、まだ同じことを繰り返し言っているのかとか・・・ひそやかなささやきであっても、その言葉は忍び込んできて心に突き刺さる。
 この先長く続くことだから今をしっかりと過ごしてゆこう。基礎をしっかりと作ろう。支えの手を用意しようとしている。何もない中から何とかしようと思う。だけどその気持ちを打ち砕いてゆく人たちがいる。無意識に、深い考えもなしに笑いに紛らせながら、その刃は突き刺さる。
 この寒空に、仮設で暮らしてみてはいかがですか。帰ってくるかと家族を待ち続けている人の気持ちが判りますか。仕事もなく、家族もなく、自分の夢を描けない時間をそのような人々は「ヒトゴト」として通り過ぎてゆく。寂しいことですよね。こんなことは。想像力を持って欲しい。そして軽い気持ちで被災者のことを語らないでほしい。