空の端を支える人

 人生の歩みの中で、とんでもない目にあって、それでもめげないで生きていて、周りの人を勇気付ける役割の人がいるが、そんな人を「空の端を背負う人」と言うらしい。その人が空を支えてくれているから、周りの人も勇気を持って生きていくことができる。人生の道しるべのような人。いいなあと思う。そんな人が沢山いるから、私たちは生きていくことができている。
今日訪問した人も、津波で何もかもなくしてしまい、自分のいるべき場所もかろうじて、行政に見つけてもらい、また別の施設に行かねばならなくなった。その人に「あなたのおかげで生きていける」とねぎらわれた。やせ細った白い手で右手を握られ「今しばらく離さないでいいか」と言われた。

 涙がこぼれそうだった。胸が一杯になった。あなたがどこの施設に移ろうとどこまでもわたしは行くからね。本当に心からそう思う。90歳を超えて、後幾つ季節を迎えることが出来るのかわからないけれど、jijiがして欲しかったことを、私はこの人にしてあげることができることは、私にとってさいわいなことだと思った。