のんびりと

 静かなキャンプがしたくなって、家族のためのキャンプ場を探してみた。あちこちの施設が閉鎖している。少し足を延ばして震災の被害の少なかった場所を探してみると、まだ開いているキャンプ場がある。秋になるまで何度か自然の中で気持ちを柔らかにしようかと思う。私が野外で学ぶのはきっとこの自然の中での自分の存在なのだと思う。何者でもなく何者でもありえず、それでも胸いっぱいに存在を主張するこの私。小さい物でありながら、あたかもすべてであるかのような自己意識を持っている。私はナニモノであるかを思い出し、そんなに頑張らなくても、生きていくことはできるのだと思い知る。何と心優しい瞬間だろう。三月十一日のあの地震の中でいかに自分が無力であるかを思い、それでもこの小さな命を生きているのだと思い、人はこうやって自分もまた自然の一部であることを知るのだろうな。