震災から二ヵ月半近く

砂あびすずめ

 今まで元気だった人たちが、次々と調子を崩している。もう、あの日の記憶が遠くなって、出来事の順序が判らなくなって来た。何があったのかがもう時系列ではわからない。哀しいのか、腹立たしいのか、むなしいのか、入り混じって色合いが判らない。記憶の映像が強弱を持たないまま混ざり合って戻ってくるから脈絡がわからなくなる。あのことがあったのはこのことの後か、先か・・・・・
 混乱するほどに自分は心の整理がつかぬまま生活を積み重ねてきたのだと気付く。緊張が解けてきて始めて自分が痛んでいることに気がつく。どっと来る。日常の活動を今までと同じようには出来なくなっている自分に気がつく。説明のつかない空っぽの無彩色の音のない現実感。こんなになってしまった自分をいかにして奮い立たせたらよいのだろうか。今まで一緒に活動してきた仲間が、ある日「もう一歩も先に進めない」とへたり込む。腕を引き上げることが正しいのか。共に座り込んでその場に座り込むのが正しいのか。正解はない。
 支援資金が出るから、活動を立ち上げなければとせかされる。各企業が資金を出してこの災害の被災者の為に活動をすることを支えようとする気持ちはありがたいが、思いつきで動き出しても、それが有効な動きになるとは限らない。慎重に考え企画して行動に移すにはあまりに時間が足りない。限られた人材で出来ることは何か。きりきりと思考のねじを巻く。切れそうになる・・