花が咲く

誰のためでもない。ただ咲く


季節が来るから
花が咲く
香りを風に乗せて
ゆったりと花が咲く



地震があろうと
津波をかぶろうと
放射能に汚染されても



時が来れば
花は自分のままに咲く
誰も見ていなくても
誰のためにでもなく
ひっそりと咲いて
精一杯咲いて
静かに散って行く



たとえ
この土地が死に絶えて
来年の春が巡りこなくても
確実に種を作り
大地に眠る



人の営みの危うさに比べて
花が咲くということの確かさ