振り返る

 三月に入って二日に親分は退院してきたのだったなと思った。あれから一週間穏やかな日があった。それから9日に地震6があって、11日の大震災まで揺れ続けている。その時の「これは予兆ではないのか」という不安が的中したわけで、あの時の直感が手触りとして残っている。
 あの日を境に何かが大きく変わってきた。家族、夫婦、親子、友人・・人間としての自分の在り方を考える。今、ここで終わっても悔いはないのかとふっと思う。自分が出来ることの何と小さいことか。しかし、その小さいことが失われたら、この絆は保てはしない。小さくていいのだと思った。手の届くことでいいのだ。それが出来るのは自分しかいないのだとも思った。