気がつけば

去年の鉢に花が咲いた

お正月の食品、何も購入していなかった。というか、気にはなっていたのだけれどとてもそこまで手が回らないという状況。黒豆、錦卵、日の出羹、きんとん、ごまめ、煮しめ、膾、昆布巻き・・・・もう気持ちは焦るけど時間がない。少しだけそれらしく、お雑煮だけはきちんと作ろう。餅つきしながらお雑煮を仕立てる。お正月だからといってのんびり出来るわけでもなく、プラスアルファーの仕事が増えるだけでかえって忙しい。だけど子供のころから御節のお重の蓋をわくわくして開けてその彩にうっとりした思い出は、忘れられない。母もきっとそんな喜びを家族と分かち合いたくて、頑張って作ったのだろう。BABAの記憶はいつも受け入れがたかった自分にたどり着く。彼女の気持ちを私はどこか醒めた目で見ていた。BABAはこれでもか、これでもかと私に全力でぶつかってきた。愛情表現の下手な人だったと思う。今なら、ひょいっとその気持ちに立って見ることが出来る。そしてかわいそうだったなと思う。私も可愛そうな娘だったけれど、BABAもまた可愛そうな母親だったなと思う。通い合うとか、分かり合うとか、かばい合うとかとうとうなかったなと思った。お互いのやることなすこと癇に障ってぶつかり合って心を閉ざして、長い長い時間を過ごした。
 お互いに不器用で、頑固だったのだろうな。しみじみとあの御節の味を思い出す。