私の願い

今年私は沢山の虐待を受けている人々に出会ってきた。
それは特別な人に、特別な環境に起きていることではなかった。
何気なく見過ごしてきた沢山の出来事の陰に
「人間として幸せに生きる権利」を奪う出来事がなかったのか。
誰かが人知れず傷つけられていなかったのか。
聞き逃してきた言葉に助けを求めてはいなかったのか。
誰が、誰のと責任を追い求めることも大切だけれど、
それに気付いたその瞬間に、気付いた人が手を差し伸べなければならないと私は思う。
たとえそれが大海の一滴の水にしか過ぎなくても。
凍えた手を暖めうるのはその瞬間に差し伸べた私の手のぬくもりだ。
たとえ無駄といわれてもいい。
自己満足だとののしられてもいい。
確かに私はその人の手の冷たさを感じ取り、その人は私の手の暖かさを感じ取ったのだ。
そこから先、社会的にどのような救済がなされるかは私の問題ではない。
私は、おろかと言われても凍えた人の指先を暖める小さな炎でいようと思う。