今日は自死遺族支援の日

美術館の階段

 月に2回自死遺族支援の分かち合いの会をやっている。もう5年が過ぎ、メンバーも少しずつ変化してきている。季節のめぐりの中で、遺族は自分をどうなだめてよいのか悩む。季節ごとに新たに思い出す物語がある。そこで語られることは決して外で語られることはない。悲しみに彩られる物語はまさに一人一人の人生そのものであり、他者には踏み込むことを許さない個の世界である。その戸口に立ってほんの少し開かれるまどの外に立って、お互いの物語を私は聞く。あなたが語りたいものは何ですか。あなたが痛むのはどんな傷口ですか。私の手がお役に立ちますか。決して無理強いも誘導もしない。辛抱強く待ち続ける。どこにどう流れ着くのかは私にはわからない。その人の岸辺に、その人らしくたどりつければそれがよいことなのだろうと思う。
 私は、私の地図を誰にも押し付けない。その覚悟がなければ人の人生に寄り添うことはできない。