エルビス・プレスリー
彼がゴスペル・シンガーだと知っている人は沢山いると思う。彼が生まれたのは南部の有名なバイブル・バンド。熱狂的なキリスト教地帯だった。1948年ミシシッピー州テュペロからテネシー州メンフィスに移っている。彼は教会の聖歌隊でソロとして歌っている。ゴスペルコンサートが彼の出発点にある。
私は彼のことはほとんど知らなかった。歌は知っていたし、情熱的な姿も知っていた。でもこのゴスペルシンガーとしての彼は知らなかった。ある夜のこと。それは息子が亡くなったころのことだったと思う。眠ることもできず、かといって寝静まっている家の中で何かすることもできず、一人で布団の中で「深夜便」を聞いていた。するとこの曲が流れてきた。エルビスの「夕べの祈り」・・・・胸をひたひたと何かが浸してゆく。
どこを探しても見つけることができなかったこの曲を親分が私に誕生日のプレゼントにとくれた。
眠れないまま朝を迎えた私にとって息子の祈りのように聞こえた。今もあの明け方の闇の中のこの歌は私にとって特別の響きを持っている。
夕べの祈り
もしも私が 今日誰かの心を傷つけたならば
もしも私が 誰かをつまずかせたならば
もしも私が 自分勝手な歩みをしていたならば
愛する神よ ゆるしたまえ
私が御前に告白する罪を ゆるしたまえ
私が気付かぬ隠れた罪を ゆるしたまえ
おお主よ
私を導き
私を見守り
私の牧者にならしめたまえ
愛する神よ
アーメン アーメン