このところすごいスピードで読まなければならない本がたまってゆく。あせる。書かなければならない手紙もたまってゆく。頭が空っぽになってしまわないうちに次を詰め込むから混乱してしまう。そんな時、フト魔がさすと何かろくでもないものを買ってしまう。本を手当たり次第に買い捲ったこともあった。今はネットで買えるから少し頭が冷える。置く場所ももうほとんど満杯。
 ひところきれいな物が欲しくていろいろな物に手を出してみたけれど、指は十本、首はひとつしかなくてほとんど身につけることも無いまま。いつこれらの物を身につけてお洒落を楽しむんだろうかね。などと考えるとこのごろはせめてピアスを買うくらいのささやかさ。お茶の茶碗も夏冬そろってしまえばもう置く場所も無く買う気にもならない。物にはそれぞれにこれ以上はいらないという量が決まっているのかもしれない。分相応という物もあるし。私が死んだら娘たちがけんかしないようにきちんと考えておかねばならぬな。ささやかな物であるがゆえに、ささやかな欲も言えるのだもの。「あ、それ欲しい」それはささやかな快感だと思う。