孤独

 先日、社会活動家のお坊様にあってお話を聞いた。「人は孤独では死なない。しかし孤立しては生きられない。」本当にそのとおりだと思った。一人の自分を寄りかからずに保ってゆくことは決して自分を損なうことではない。むしろ多くの宗教者は孤独の中に自分と大いなる存在とのかかわりの接点を見る。縦の糸である。人間であることの中に社会性を持つこととあい矛盾するかのように孤への憧れがある。我であることを抜きにして大いなる存在にゆだねる事はできない。しかし孤立は求めてなお与えられない人と人の間を結ぶ横の絆の断絶である。縦の糸が切れても横の糸が切れても人は生きることが難しい。
 孤独で在れ。孤立するな。禅問答のようなこの言葉が胸にしみる。家族の中の孤立は耐え難いものだ。夫婦であっても、親子であっても・・・つらいものだ。それは珍しいことではなくむしろありふれた現象だ。お坊様は自分の家族を持たず、お寺を開放して孤立した人たちの居場所を提供しておられるという。家族がいたら、とてもできません。幸いにして私は家族を持ちませんからとおっしゃった。穏やかなお顔だった。