どうしようかね子猫ちゃん

 姫に「私大の入学手続き金、どうしようか」といってみた。我が家では今まで入学手続き金を払ったことが無い。上の子たちは一校狙いだったし、兄弟姉妹がいるから何とか公立に進むことが第一優先だった。それは時代の流れから逆らう生き方だったのかもしれないけれど、どの子にも平等に教育のチャンスを与えるための苦肉の策でもあった。
 姫はそれを身体で感じながら育ってきた。彼女は「ぎりぎりまで待って。自分の技術的な仕上がりを見て決めたい。入学手続きをしてもらったら、慢心するかも知れないから」といった。
もし、駄目だったら・・・浪人してもいいか?そうでかかった言葉を飲み込んだ。後が無い状況で勝負したいのなら、それもよいかと思った。どちらでもいい。彼女に決めさせようと思った。決めてそれを飲み込む力はあると感じたから。
 親分は当然手続きをしてやりたいと思っている。これもまた親心・・・。仕事を続けていたら、何も迷わないし考えないで手続きをしたのだろうか。今まで体験したことの無い感情が交錯している。この気持ちは大切なものだと思った。とても、とても。