自然にしてみれば

雪の姫椿

 いちいち細かいことに気を向けてはいないだろうが、人間にしてみれば季節に振り回されている気分になる。昨日までの真冬の気候から今朝はうらうらとまるで春の日差しだ。三寒四温なのだから当たり前のことなのに、目先のことしか見ないで暮らしているから、身体がついてゆかないと思ってあたふたしている。
 今ほど緻密な天気予報が無かった時代は自分で天気を読んだし、自分で感じ取って確認した。それが今では時刻刻みでしかもピンポイントで確実性の高い天気予報が分かる。もはや天気に意外性はなくなってしまった。予報情報を見なければよいのかと思うが、一日の始まりに今日の予報を聞いて、あらかじめ予定を設定することが生活の中に組み込まれてしまっている。せめて、自分でまず空を読んで身体で感じてその確認として予報を聞くくらいのことをしなければ、ますます鈍感になってゆくと思う。せめて自然の中で敏感に生きていたいと思う。
 天気予報に生活をゆだねている職種の人もいるのだから、私の言っていることはのんきなことだと笑われるだろうけれど、予報情報を聞かなくても自分で知ることが大切だと思う。特に野外活動をするときは自分の感覚を研ぎ澄まさなければ命に関わることもあるのだから。そのためには毎日の暮らしの中で空を読む習慣を持ちたいと思う。子供のころ身につけた空気のにおいは大人になっても失われることは無いのだから。