それにしても

 いろいろな力を子供時代に発掘して育ててゆくことはその子が、自由な方向に伸びてゆくことを支えてくれる。追い込まれて切羽詰ってひとつが砕けても、ならば「これならどうだ」とぶつけるものを持つことは、袋小路で立ち往生することを防ぐ。自分の力を信じてばねのようにしなやかに生きることが、今の時代には必要だと私は思う。ひとつの道がふさがったとき、自力で扉を開けて次のステップを踏むことがどれほど「命をつなぐ」ことになるのか。絶望しないためには、逃げ込むことだけではなく、飛び出してゆくこともまた必要なのだと思う。
 自分がいくつもの可能性を秘めた存在であることは、挫折した時に、明日を生きていくための大きな力となる。子供時代を、いろいろなものを試しながら育ってくることができた人は、この出口を沢山持っているに違いない。こんな時代だからこそ、寄り道をして、気持ちを楽しませて自分の翼を育てよう。親はその子がどんな翼を持っているのか楽しみながら育てる中で見つけてゆくと思う。それは○教室とか○スクールで発見されるものではないと思う。何者にも束縛されず、自分の心のままに楽しむときそれは姿を見せてくれる。それを共に味わうことができるのは家族の特権だ。子供の力を育ててゆくのは生活の中なのだとしみじみと思う。