初めてのこと

 夕方早めに帰れたので夕食の食材を親分と買いに行った。いつもは車で近所のSEI○○に行くのだけれど、今日は何となく二人で歩いて一番近いスーパーに行った。ここはお客は近所のおばあちゃん達や勤め帰りの人ばかりで夕方は早くしまるし、日曜日は休みという不思議なスーパー。商品もお惣菜や出来合いのすぐ食べられるものが多い。安くないし、だけど一番近い。そこで今夜の野菜を買い込んで帰り道にMINI○○に寄って、フライドポテト・マッシュタイプとベルギーチョコアイスを買って帰り道の公園のベンチで二人並んで食べた。初めてこんなことをやってみた。小学生達が草原で野球ごっこをしていて、少し離れたベンチではおばあさんがひとりでぽつんと座っていた。空が静かに夕焼けになる。何だか、人生って感じがした。こうやって私たちは生きて、ここまで辿り着いたんだなあ。沢山のいのちの誕生と、終わりを看取りながらここまで二人で生きてきたんだなあって思った。ぶーらぶーら歩きながら、何度もこの絆は切れそうになったなあって思った。長い長い時間を生きてきて、またこれからがあるって知っていることは嬉しいことだな。残り時間は数えない。そのときが来たらきっとその少し前に神様はちゃんと知らせてくれると思う。そしてしっかりと分かれることが出来るだろう。どちらが先であっても、結局同じところに行き着くのだから懼れはない。待っていること、待たれること。そのどちらが自分の立場であっても悲しまない。夕暮れのなかでそんな気持ちを感じていた。初めてのこと。穏やかさも、暖かさも。