放し飼い

 親分は時間を決めてインコたちを部屋に放つ。かごに入れたままでいると小鳥の感情表現が育たない。自由に育てているとそれなりに、人間との仲間意識が育ってくる。飛び回って手を伸ばすと人間の手に停まったり、肩で眠ったり、自分で気ままに楽しんでいる。感情表現も豊かになる。かごの鳥と言うけれど、狭いかごの中だけでは見られない面白い表情や態度がある。輪ゴムを三羽で突っつきながら部屋の中を歩き回る。虫を取っているつもりかも。手乗りいんこの死亡原因の第一位は家の中での踏み潰され事故。足元に小鳥がいないか移動の時は気を遣う。
 せっせと収集したサダオ・ワタナベの版画の額の上が好きらしく、いつも同じ絵の上にとまる。エルサレム入城の絵。額は汚れても何とかクリーニングできるから大目に見る。この絵は子供がひとり生まれるたびに記念に購入したもの。今まで荷物の中に入れて出さなかった。親分が折角だからと引っ張り出してくれた。まだ全部の枚数が発掘されていないようだ。残りは何処にあるのだろうか。引越しを繰り返すうちに額が割れたり散々な保管状態。胸が痛む。そして今小鳥の止まり木になっているし・・・・ごめんなさい。インコ類はオウム病の不安があるから消毒と糞の始末だけは神経質になる。