朝から雨がたっぷり降っている

五月の薔薇イルゼ

 眼下に見下ろすグラウンドは、水が溜まり空が映りこんでいる。朝の仕事をしていたら少年達の声が聞こえる。「うそっ」と思ってみたら何とこの雨の中を野球部が集結している。幾らなんでもと思ってみていると彼らは水溜りをよけてぴょんぴょんと跳ねながら走っている。サッカーやラグビーならばイザ知らず野球部は無理だよと思った。
 ここまで頑張っても甲子園には行くことが出来ないのに。何せ強豪校が何校もいるから、毎年そのどこかに決まっている。戦っても既に勝ち目がないのに、こうやって雨の日も雪の日も風の中だって休まない。いつ勉強するのだろうと思うくらい夜遅くまでやっている。なんだか胸がキュンとなる。この子達のような何千という野球少年の上に甲子園は成り立っているのだ。7時を過ぎて声がしなくなった。グランドが痛むので外での練習は中止になったらしい。
 我が家の姫はもう受験一色。今日も模擬試験があるので7時半には家を出なければならない。それぞれの青春かア・・・。全員が進学できるはずのご時世だが、難関校は相変わらずの厳しさ。国公立と私校の一塊のランク校は、浪人覚悟と言い渡された。今も昔も変わらない。そこに行ったからといって人生を保障されるわけでもないこの世相なのに。何も確実なものが無いから、過去の安全パイをまだ握り締めている。いらだつ気持ちがあるが現実にそれを打ち砕くだけのバイタリティがないから致し方ない。明日は全国レベルで金賞・特選常連の姫の学校の吹奏楽部のコンサート、3年間在学して初めて本人が行ってみたいと言い出した。やっと学校行事に気がついたときはもう卒業学年。

 親分は、予定では今日は団地の避難訓練があるそうな。大きな規模で宮城地震が予告されているからそのために階段を使って避難する訓練。火災の訓練もある。我々の引越し前の1月に同じ敷地の別の棟で火災があったから真剣。自分の階より上の火災は何とか水害だけで済むけれど、階下の火災は考えただけでも怖い。想像して一瞬吐き気がしてしまう。大きな団地なので、備蓄してある災害用食品と飲料水の配布もあるとか。参加後取りに行かなければ役員が戸別配達するというから迷惑はかけられないので参加せねば。だって水2Lx6本が家庭に配布される。そんなものを他人様に持ってきてもらうわけには行くまい。私は仕事の報告書作成があるので自宅で作業する。代表参加は親分に。