精神病院訪問

mugisan2009-05-18

 退院のめどが立たない方の訪問。前回は投薬の種類と量が身体に合わなくて会話どころか対面そのものを中止せざるを得なかった。半月さらに猶予時間を置いて会いに行った。しっかりと私の目を見つめてきちんと対面できる。ふんわりと微笑が広がる。出会って2年半の中でこんな姿を見たのは初めて。今まで訪問していても絶えずいらいらと落ち着きがなく、感情の起伏が激しく、かつおどおどと萎縮して、まるで檻の中の動物のようにびくびくしていた姿しか見たことがなかった。そういう人だと思っていた。引継ぎの資料にもそのような記載がなされていた。
 生活環境も劣悪だったから致し方ないのかもしれない。生活施設の管理者から絶えず罵倒され、必要と判断されれば身体的な暴力も受けていた。言葉の暴力は日常茶飯事だった。その施設から望んで本人の意思でこの病院に入院した。家族を持たない人だからほかに行く当てがなかったのだけれど、ここで薬との戦いが始まった。長年通院治療をしてきたのだからまさかこんな事態になるとは思わなかった。きっかけは薬の量が増えた→咽喉が極端に渇く→水分を多量に摂取する→体内の水分バランスが狂う→下痢・嘔吐・めまい・脱力・歩行困難・・・・etc諸症状が出てきて相互に作用しあって一般病室で管理できなくなり個室に保護された。そこに45日間いたことになる。その間壮絶な闘病生活だったと思われるが、昨日やっと一般病室に戻ることが出来た。もし・・・・もし身内がいて、見舞いの時に異変に気が付いて看護士なり医師なりに相談したならば、ここまで苦しまなくてもよかったのではないだろうか。いやそれ以前に施設でその方の心を支えることが出来たなら、もう少し違っていたのではないだろうかと思った。
 今私に出来ることは月一回の訪問の中で出来る精一杯のことを心を込めてすること。生きていることを少しでもその方が歓びと感じることができるサポートをしたい。今日の はなのような微笑が奪われないこと それが当面の私自身の課題だ。サビーヌの悲劇http://www.uplink.co.jp/sabine/top.phpは絶対に避けたい。