講演の打ち合わせに行った幼稚園で

あひるのたまご

 アヒルの卵を5個もらってきた。園庭で園児達がお世話しているアヒルが毎日卵を産むのでその卵を下さった。ぷりぷりして鶏の卵より一回り大きくてスフレにしようと思った。付け合せは素朴にロシアンサラダとアスパラガスのソテー。お味噌汁はお豆腐と長ネギ。風邪で体調を崩してやっと復調に向かっている姫に食べられそうなものを一生懸命考える。
 外は冷たい雨が降っている。野球の試合も中止になった。その雨の中をグラウンドではアメフト、野球、サッカーの練習を早朝からやっている。大きな声で一日走り回っている。亡くなった息子と同じ年齢の少年達が目の前で元気に走り回っていると思わず「皆誰かの息子なんだなあ」と思っている自分に気が付く。こんな姿の少年があっけなく亡くなってしまうなんて、起こるはずがない事が起こったのだなあと思う。1800日が過ぎていった。私は何事もなかったように毎日を生きている。心の中と外が別の時間を生きているようだ。ひりひりする。



少年よ、死んではいけないよ。
かあさんが辛くて辛くてかわいそうだよ。
それでも死なねばならないならば、
きっと真っすぐ天国に行って、
母さんが一日を無事に生きられるように助けてあげて。
そして
やがて母さんが天国に行く時は必ず道案内をするんだよ
この辛い日々を耐えて生きた母さんに
せめて、それくらいはしてあげなさいね