アンドリュー・ワイエス

mugisan2009-04-29

 今年1月16日に亡くなったワイエスの特別企画展が福島県立美術館で5月10日まで。そもそも福島県美はワイエスの点数が多いので有名だが、貸し出しも多くて行っても中々会うことが出来なくてがっかりして戻ることが続いていた。何が何でも会いたいと思っていたから、思い切って高速バスで行ってみた。人間が二人であればバスが一番安い。車を置いてバスで出かけることは珍しいから何となく遠足気分。住まいから高速バス乗り場まで220円。福島までなんと往復買えば1800円。福島駅から美術館まで飯坂線で二駅140円。歩こうと思えば歩いていける距離ではある。入館料金はペアチケットで2000円。安い。しかもすいている。あの東京の美術館で行列を作り、人ごみにもまれ、かろうじて肩越しに絵を見ることが当たり前だっただけに、こんなにゆっくり静かに立ち尽くしてみていても良いのかと思った。なんと言う幸せなひと時だったことか。
 余りにじっくりと見たお陰でとても常設展を見る体力はなくて、大好きな松本俊介には今回会わずじまい。また来よう。いつも美術館の帰りに立ち寄る喫茶店でコーヒーを頂く。常連さんとお店の方の会話を聞いていてカトリック用語が飛び交い、どうやら同じカトリックの方であるらしいと思った。奇遇ですな。勿論そんなことは申し上げることなく、美味しいコーヒーを堪能してぶらぶらと駅へと戻る。
 福島の名産は沢山あるけれど今では有名になりすぎて何処でも売っているものがほとんど。そこで私が知っている、他では売っていないものを少しピックアップ。

★燻製卵(これは作っていた職人さんが亡くなって代がわりが上手くいかなかったらしく、以前の名品にはお目にかかれなかった。)それから卵でもう一品。名前は忘れてしまったけれど、誕生直前のひよこの卵を加工したもの。中華料理に使うのだろうか。もう羽も生えて殻を中から割る直前の卵を食べられるように加工したものらしいが余りの生々しさに買って食べたことはない。今ではそのお店があるのかも分からない。福島は養養鶏が盛んで美味しい卵が養鶏場の名前で売られている。ワインみたい。温泉名物のラジウム卵というものも或る。
★太陽堂の「麦せんべい」硬くて歯が折れそうなおせんべい一見南部せんべいに似ているがアレよりももっとハードタイプ。噛めば噛むほどじんわりと美味しい。これはゲットした。砂糖のない時代に、これでもかと飽和状態よりさらに砂糖をたっぷり入れて作る羊羹。含みきれない糖分が蜜になって固まるので羊羹の端は蜜が固まって白くコーティングされた何とかというお店の羊羹、菊という文字がどこかに入っていたと思うが。端っこがカリカリしていて美味しいが、知らずに買った人は「古いものを売ったな。端が糖化している」とクレームをつけるそうな。実は私も始めそう思った。後でお店の人にさり気なく「この前買ったの端っこが糖化してましたけど」といって初めてそれが売りなのだと知らされた。
 新しいこのごろのものは「ゆず」を使ったお菓子類が増えている。昔はゆず味噌しかなかったけれど。これに紅鮭を使った紅葉漬けやら海のものも入れたら書ききれないのでここいらで止めるけれど。福島の昔から大切に受け継がれてきた名物は、貧しい土地柄の中で精一杯工夫して日持ちさせて大切に食べ続けてきたものばかりだな。かつて高校生や若者が行きかっていたパセオ通りはシャッター通りと化し集客のカナメだった大型スーパーは地場食品店と化し、駅に向かう道筋は中央資本のチェーン店の居酒屋が並ぶ。駅前に或る中合デパートの地下で昔よく通った地元のケーキ屋さんを探し当てる。「レパコ」ここの焼き菓子が大好きだった。蛙ちゃんが新年度の仕事開始で疲れ果てているのでお見舞いに焼き菓子を買う。ダコワーズがおいしい。明日ポン太氏に会社の帰り待ち合わせて持って帰ってもらおうと思う。
 そうして親分と麦は帰りもバスでつつがなく戻ったのでした。

 勿論ワイエスは・・・会えてよかった・・・堪能・・・しあわせ・・・