本が読みたい

ほっとした明るさに

 絵が描きたい。このところ忙しくて自分のための時間をゆっくり楽しんでいない。気持ちがすさむ。人と会っておしゃべりするよりは自分の気持ちを整えることや。味わうことがしたい。ゆっくり音楽を聴きながら暖かなお茶を飲み、本を読む。そんな時間が欲しい。自分をすり減らしてはいないか。もっと守らねばならないことはないのか。
 ふとおもいたって、手持ちの石でロザリオを編んだ。指先が痛くなったけれど、胸の中が暖かくなった。祈りながら静かに時間を過ごしたことは久し振りだ。忙しさは心を干からびさせてゆく。忙しがるあなたは嫌いだといった友人の言葉を思い出した。彼女は自分に時間をくれないと思ったのだという。遠慮があって声をかけられない。そうか。しかし人生はそんなものだ。忙しい時間が過ぎている中で立ち止まったり、振り返ったりしながら人は出会ったり分かれたりする。相手に立ち止まって時間を作れ等とはいえないのだよ。始めはびっくりしたけれど、彼女がわたしにそっと甘えたかった気持ちを改めて感じた。上手に甘えることができない彼女らしい表現。傷ついたわたしもまた青いなあと思った。