冷たい雨が降っている

 まだ時間は早いのに最早夕暮れの様。冷たい雨が降っている。今夜も一人で過ごす。今日は手紙を書こうと思う。遺族の方から頂いた手紙の返事をまだ書いていない。心を沈めて、祈りつつ言葉が湧いてくるのを纏う。頭で書いてはいけない。心の奥深く荷響く言葉が与えられるまで纏う。わたしの技ではない。おのずと与えられる言葉を待とう。この手紙が万が一にも人を傷つけることのないようにと願う。ひとかけらも不順なものが混じらないように心を砕いて言葉を待とう。遺族への手紙は命に直接関わってゆくから怖い。安易にかけるものではない。わたしがではない。大きな力が何かを変えてゆくことを信頼して待つ。