家探し

 今日はマンション一件見た。168平米プラスアルファの大きさ。大きいけれどあちこち傷みが目に付く。それを飲んでの賃貸料金の安さなのだろうが、いまいち不安が先にたつ。何が嫌なのか冷静に振り返ってみると全フロアー敷き詰めの段通のじゅうたんなのだ。高価なものであろうがなかろうがもしこれがフローリングであったらむしろ安心したかもしれない。得体の知れない不潔感は根拠のないものかもしれないが、体が感じ取ってしまうものだから致し方ない。
 お化けだの、事件だの、霊魂だのそんなものの類は恐れないが、不潔感だけは耐え難いのだ。徹底的に消毒していただけますかと思わず不動産業者に言ってしまった。この物件に関して私がどこまで徹底的にハウスクリーニングできるかにかかっているようなそんな気もする。広いのだ。とっても。
 ネオクラシックが売り物とかで、私たちにとってはおよそ我慢のならないデザイン。姫の学校徒歩五分。窓から校舎が丸見えという利点。親分は広さしか眼に入らないらしくこれだけ広ければ倉庫の本を全部引き上げて、ここに持ってきて整理が出来る。アアそうかこのいやらしい壁とじゅうたんをみな本棚で隠してしまい、アイランドのように真ん中にフローリングカーペットを敷き詰めればよいのか。25畳の書庫か.贅沢・・・
 つまり全室壁を本棚とユニット棚で隠してしまえば書斎に暮らす雰囲気にはなる。ピアノをムギハウスに送っておいてよかった。この部屋の印象は一言で言えば「ホーンテッド・マンション」窓がひとつもないクローゼットルームがあり、かろうじて窓が一個小さくついている座敷牢のような八畳の洋間がある。この二部屋にぎゅうぎゅうに荷物を詰め込んで後は地震が大丈夫なように何もおかないか・・・いや本が・・・そうか本棚が壁か。そのほかに広い和室と、洋間がさらについていて、15畳のダイニングキッチンがついている。洋間は全て敷き詰め。ダイニングまで敷き詰め・・・とほほほ・・・
 とにかく姫が卒業するまでの間だけでよいのだ。そう納得しかけて・・・つまり倉庫に住むという感覚なのかとはたと気がつく。
 親分はせっせと次の物件を調べている。そうそう、広い屋上テラスがついているけれど。柵が一箇所外れていて6階の高さからダイビングできる仕掛けになっている。借り上げ近隣駐車場の真向かいは、かつて友人の間でウィッチと異名をはせた方のおうち。これも微妙な・・・