朝一番で

羽化したのは夜

施設訪問。たった一人で入院している方の訪問。言葉を話す相手がいないので会話が戻らない。脳梗塞は早い段階で訓練しなければ症状が固まってしまうので私は何とか声を出してもらいたくて車椅子を借りて腰掛けながら(この部屋には簡易便器と車椅子とベットしか置けないのだ)少し筒後ろに下がって「聞こえないよ。ここまで届く声を出して」とやってみた。本来このようなリハビリは施設の仕事なのだが、リハビリも週一回だけというので驚く。足元も定まらないことに私のほうが苛立ちを感じてしまう。もっとかかわってあげたいのだが、私の管轄はほんの少ししかない。施設側に要望書を出す。むだとわかっていてもみすみす機能が失われてゆくのを見過ごすことはできない。
 仕事に関しては私は変わらないスタンスを保っていると思う。これが私の仕事のかかわり方なのだとも思う。相手に残された時間をいかにその人らしく生ききれるか。大切な時間をともに生きる者として私に何ができるのか。自主性を守りながら、人生の扉を開ける手を支えていたいと思う。