何と7人がゼロに

薬師堂のイチイの根っこ

 子供達がいたころは、たまたまの祝日は宝物だった。休日出勤が当たり前の職場だったから、横目で他の親子を見ながら『何でうちのお父さんはオシゴトなの』と泣かれた。子供を引き連れて小鳥の森や運動公園で日を過ごした。それが何と今日は、姫は友人とイベントに出かけてしまい、私と親分は引越しの荷物を片目で見ながら所在無い。こんな日が来ることが自分達にもついに来たのだと思う。洗濯を済ませお風呂を洗い、昆布を切って水に浸し佃煮の下準備をする。それにしても子供がいない家事と言うのはただみたいなものだ。いかに自分が過酷な生活をしてきたのか改めて思った。昆布はしいたけと佃煮にする。さて畑に行って、DIYに寄って、トイレの突っ張り棚を買ってこよう。ついでにワゴン車のガソリンを補給してこよう。何しろハイオクだからとんでもないことになる。
 こんなにも生活費を考えながら物を買う羽目になるとは思いもしなかった。必要なものだからと支払いは当たり前と思って生きてきたのに、この頃はいちいち『これは本当に必要か。無しで済ませられないか』と考えねばならなくなった。車のガソリンもいつ満タンにすべきか悩む。