午後から仕事

午前中は昨日の続きでもはや今必要のない衣服を整理しながら箱に入れて寄せてゆく。本来荷詰めは後半一気にやってしまった方が効率が良いのだが、ばらばらに走り出してしまったので調整を取りながら今回は親分方式で。
 地道に物捨てをやっているとなんだかとってもくたびれた表情になるらしい。昨日指輪をはずしてそのまま快調なので指輪をせずに仕事に行った。もちろん指にはくっきりとはずした跡が付いている。専門員がちらと手を見てぎくっとして物言いたげな表情をして言葉を飲み込み、何も言わなかった。そのときは気がついていなかった私。夕食を作っていてふと手を見て「ああこれか」と思った。
 離婚が珍しくない今のご時世だもの。こいつもとうとうと思われても致し方ない。鏡を見たらげそっとしているしな。
 訪問先のことを考えるとメイクはしない。こちらが晴れやかな装いをしていると、もはや自分には化粧品は縁がないのだと悲しくなったり、突然口紅が欲しくなったりする方がいるから、ごくごく地味にほとんど素ッピンで。一度仕事先から学校に直行せねばならずスーツで行ったら、昔を思い出して悲しまれてしまい困ったことがあった。
 男性の一人住まいに単身で訪問することもあるから、服装も女性を感じさせない服装で。夏場でもしっかりズボンでガードするし、上は抗菌加工の防染衣をきる。相手と緊張感なしにゆったりと対面するためにはこちらもそれなりに身を守る義務がある。それは相手を尊重し、自分もまたこの人とのかかわりのルールを守って関わっていることの現れでもある。たとえ部屋の中をねずみが走っていっても、私達は騒がない。動物の糞尿が物凄いにおいを発していても淡々と仕事をする。ダニが予想されるときはしっかりと防虫スプレーを掛けてさらにズボンのすそも袖口もゴムで絞って衣服の中に入り込まないように防御する。もちろん靴下も履きかえる。さりげなく。決して不自然にならないように。最初は気持ち悪くて大変だったけれどこの頃上手にクリアーできるようになった。私にも学習機能が付いているのだな。