早春賦

 車で移動中「鶯の初啼きを聞きました」と言う話題が流れていた。もうそんな季節なのだ。今朝は国立病院の前を通った。右折で病院内に入るため右折車線は大渋滞。交差点を越えて車がつながっている。こんなにも病む人がいるのだなあと思いつつ、片側1車線かろうじて確保された道を抜けた。家族が人生の最後をここで迎えた人、自らが未遂でここに入院した人、私が関わっている人の多くがこの車の流れを体験している。大学病院か国立病院か、他の総合病院か。地元の人は入院先の名前で病気の重篤さを推し量ったりもする。病気を抱えて生きる人たちの今日一日が、この光に柔らかく包まれて穏やかでありますように。季節のめぐりは今まで忘れていたことを浮かび上がらせて思い出をかき立てる。