雪顛末

朝は太い道路はすでに除雪剤がまかれていて車は渋滞どころか数珠繋ぎで速度計はゼロを指したままいつもなら20分の行程を一時間掛かった。皆スリップが怖くてシズシズと走る。いつもなら追い抜き・車線変更・割り込み・幅寄せなんでもありなのに今朝はまるで王者の葬送の列のようであった。日が高くなるにつれて路面は溶け出しまた普段の様子に戻った。ほんの一時のことだったけれど怖かった。雪国に暮らしていて一冬丸々雪道を走り回っていたのに、雪のない冬に慣れてしまって、すっかり臆病になってしまった。こんな風でいつかまた盛岡に住むことができるのだろうか。冬の雪と寒さを考えたら空恐ろしくなる。旅人としている分には美しくて風情のある街だが,いざジジババになって住むとしたらどんな風になるのだろうか。皆さんちゃんと住みこなしておられるのにこんなことを思ってはいけないのかもしれないが、モリオカンの勤勉さと辛抱強さは半端ではないのだ。すっかり生ぬるい気候風土に甘やかされ骨抜きになってしまった今のわが身は耐える力がないように感じるよ。