何とか精一杯の一週間を

過ごして、改めて自分たちが向き合っている人々の尊厳を守ることの困難を思う。知的障害を持った人の結婚は、そして出産は。人間であれば等しく持っているはずのこの基本的な権利さえ会議にかけられて決定されかねない現実。たとえ精神能力は子供であっても肉体は大人だ。等しく人としての権利は認められるべきだ。しかし現実に子供ができたらどうする。その子が健常児であったとき、親と同じ障害を持っていたとき、養育の問題もある。社会との関係性もある。偏見もある。現実的な問題もある。その一つ一つに本気で向き合ってもどんなに援助の資料をかき集めても、一人の人間の権利を守るには遥に足りないのだ。私は自分が無力で非力で歯噛みする。なぜこの一つの命を守ることができないのか。
 そして無力であるがゆえに思う。今私ができることを精一杯やることで私は私の人生をしっかりと生きようと思う。たった一度の人生だから。生きられるぎりぎりまで生ききってみたい。たとえ無駄であっても引き返すことを潔しとはしない。打ち寄せる波のような生き方だけれども、いつかは岩の一隅を砕くこともあるかもしれない。一滴の水も落ち続ければ岩をうがつことだってあるのだから。そんな思いを強くしたこの一週間だった。