光の指さない部屋

 親分が休みごとに積極的に不動産探しをしてくれているがびっくりすることがたくさんある。今まで気にもしていなかったのだが、部屋数が増えると行灯部屋が出現する。気がついて唖然としている。マンションの規格の中で全室に開口部を作るためには端の部屋を選ぶか間取りを研究するかしかないのだ。おそらく世間様ではそのようなことは当たり前のことで何をいまさらなのだろうが、社宅と持ち家しか知らない私にとってはこれは驚異だった。光の射さない部屋で暮らすことなど考えられない。精神衛生上良くないどころか人間の居住環境として認められてはいない。にもかかわらずこのような部屋にさえ何がしかの価格がついている。夜帰って眠るだけだからというにしても、なんて寒々とした生活なのだろうと思った。
 どうなってゆくのか分からない私達の家探し。ネットを駆使して、土日しか動けないハンディを克服したいのだが。「まあ二三日で決まるさ」と思ったわけではないがこんなにも困難だとは思わなかった。いっそ買ってしまおうかとも思ったが、この街にやがて来るであろう大地震がすでに90%以上の確率なのに、壊れるのを前提で家を買うのはおろかではないか。短いスパンでそのときの必要の形を満たすことを考えて住み替えをメインにここ数年を考えた方が良いのかもしれないと思った。
 住み方もまた生活の中で大きな要素を持つ。